定年後の生活を夫婦で仲良く過ごすには

定年前と定年後では過ごし方が全く違う

厚生労働省が公表している平成30年の「簡易生命表の概況」によると、日本の女性の平均寿命は、87.32歳、男性が81.25歳となっています。平均寿命で考えると、65歳で定年を迎えた後、女性は27.32年、男性は21.25年過ごすことになります。

引用元:厚生労働省 平成30年簡易生命表の概況

これまで仕事中心に生活してきた夫婦は、当然ながら定年後の家での過ごし方は大きく変わります。

株式会社 住環境研究所が、定年後に2人暮らしをしている55歳以上の方を対象に実施した調査によると、男女とも約半数が「家事をする時間」と「テレビを見る時間」が増えたと回答しています。

男女間で生じる差異

「家庭での生活を楽しむこと」と「夫婦ふたりで過ごす時間や会話」の項目では、男性の方が多くの票を入れており、女性との差が10〜11ポイント生じています。逆に女性の方は「仕事以外で外出する機会が増えた」との回答が多くなっています。

定年後、男性は家で過ごす時間が増え、女性は趣味や習い事、旅行などで外出することが増える傾向にあるようです。

社会とのつながりを持ち続けたいと考える女性が、男性よりも多くなっていることから、女性の社会参加への意識の高さがうかがえます。

引用元: (PDF)株式会社住環境研究所 「定年後の夫婦 2 人の暮らし方調査」について

夫婦2人暮らしのポイントは「距離感」

55歳以上の男女に聞いた同調査で、「定年後、充実させたい時間」という質問に対し、男女ともに「自分のプライベートな時間」との回答が最も高くなっています。一方で、「夫婦一緒の時間」と回答した男性は42%なのに対し、女性は24%と低くなっており、男女で半数程度の差が生じています。

夫婦一緒の時間を持ちたい夫に対し、妻は親しい友達と一緒に過ごしたいと考えている場合、お互いの意見が噛み合わず、ストレスの原因になる可能性も。

定年後は、夫婦で過ごす時間が大幅に増えるため、程よい距離感を保つことが大切です。

間取りも重要

現役時代に持ち家を購入した方は、老後の生活に不便な点も出てきます。夫婦のプライベートが守られる間取りか、介護やバリアフリーに対応しているかなど、定年前に確認しておきましょう。

長い時間を過ごす家は、場合によっては定年後の夫婦生活を脅かす原因にもなりかねません。

リフォームが難しい場合や賃貸の場合は、寝室を中央で区切ったり、趣味を楽しめる独立した部屋を設けたりすることで、プライベートな空間を確保することも可能です。

60代以降も夫婦仲良く過ごす秘訣は?

定年後の生活を夫婦円満に過ごせる人と、そうでない人では、何が違うのでしょう。

ここでは、仕事を辞めてからの夫婦関係について、ネットで検索した「夫の体験談」をいくつかご紹介します。

【体験談】妻に感謝しています(60〜64歳)

定年間近の6年間、地方で単身赴任をすることになりました。その間に東日本大震災がありましたが、妻が子育てや地域の方々と一生懸命親しもうと努力してくれたおかげで、私は仕事に集中できました。今度は、私が妻に恩返しする番ですね。

【体験談】苦言も素直に受け入れられる(65〜69歳)

定年前は仕事中心の生活を送っており、些細なことでも妻と喧嘩していました。共働きで仕事をしているときには、忙しいことで、相手を思いやることも忘れていました。定年後は、時間的にかなり余裕が生まれ、妻から多少の文句を言われても、素直に受け入れられています。やはり、気持ちにゆとりがあるのとないのでは、相手を大切に思う気持ちも違ってくるのだと思います。

【体験談】お金の管理を妻に一任(65〜69歳)

定年退職する前は、お金の管理を全て自分で担当していましたが、定年後は退職金の口座から生活費のための口座まで、全て妻に管理を任せることにしました。歳の差がかなりあり、先に寿命を迎える可能性も私の方が高いという理由もあります。自分では現金を下ろすこともなく、自分の口座に現在どれくらいの残高があるのかもさっぱりわかりませんが、スッキリ気楽に過ごせています。

【体験談】夫婦間の会話が増えた(75〜79歳)

5年ほど前にリタイアしました。48年間勤めた会社からようやく解放された清々しい気分です。若い頃は、仕事で帰りが遅くなることもしょっちゅうで、子育ても教育も妻に任せてばかりでした。夫婦の会話も用件が済めばそれきり。定年退職して自由な時間を手に入れた今、趣味や普段の会話でもお互いのことをよく話すようになり、旅行やドライブに行ったり、お互いの時間を好きなように使えたり、とても良い関係を保てています。

夫婦で異なる定年後のイメージ

野村不動産アーバンネットが、50~60代の夫婦を対象に行った「定年退職後の夫婦の生活意識調査」によると、男性よりも女性の方が老後の生活をネガティブに考えていることがわかりました。

定年後、「自分の趣味や楽しみに時間を費やせる」と答えた男性の割合は、48.5%だったのに対し、女性は27.7%という結果に。また、「自分の夢や目標に自由にチャレンジできる」と回答した男性の割合は、37.2%。これに対し、女性の割合は18.6%となっています。定年後の生活に「漠然とした不安がある」と答えた女性が、全体の半数以上を占めていることからも、定年後の生活に対する女性のマイナスイメージは、かなり大きいことがうかがえます。

定年後によくある夫婦のトラブル

定年前までは、お互いに確立していたライフスタイルがあり、夫婦それぞれ自分の生活環境を整えていたことでしょう。当然ながら、定年退職後は夫婦で過ごす時間が格段に増えます。退職後の生活を夫婦円満に過ごすためにも、定年後によくある夫婦間のトラブルをチェックしておきましょう。

夫が在宅していることがストレス

夫が自宅に長い時間いることが、妻にとって精神的なストレスを与えるケースがあります。「主人在宅ストレス症候群」と呼ばれており、妻のメンタルに負担がかかることで体調を崩し、偏頭痛や不眠、動悸、高血圧、胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの疾病を招くことも。自分勝手な夫と、控えめな妻という夫婦関係の家庭に起こりやすく、夫は事態に気付いていないケースがほとんどです。最悪の場合、熟年離婚につながる可能性もあります。

夫が濡れ落ち葉の如く干渉する

定年前は家庭を顧みなかった夫が、定年後に一日中家にいるようになり、妻が外出しようとする度に、どこへ行くのか、誰と会うのか、何時に帰るのか、俺の飯はどうするなどと干渉。このような場合、妻は束縛されることで強いストレスを抱えてしまいます。ひどい場合は、夫が常に妻の外出先に同行したがるように。いずれ妻のストレスは限界に達してしまうため、早期に改善する必要があります。

夫が家事を一切手伝わない

定年後にほとんど家にいるようになった夫が、ゴミ出しや布団の上げ下ろしなどの簡単な家事でさえ一切手伝わなくなると、妻の負担はかなり大きくなります。夫が現役時代には、朝晩2回の食事の支度でよかったものが、1回分増えるだけでも苦痛なのに、一日中家にいる夫が何もしないのでは、小言のひとつも言いたくなるというものです。

夫の手伝いがかえってストレスに

逆に、家事の手伝いを夫が率先して行っている場合も、もしかすると妻の負担になっていることも。夫が慣れない家事を自分なりにやってはみたものの、洗濯物や洗い物は汚れが落ちていなかったり、洗剤のすすぎ残しがあったり、結局妻が二度洗いする羽目になります。掃除機のかけ直し、料理の作り直しなど、何もかもが二度手間。気遣いしてくれるなら、いっそ何もしないでと声を上げたくなる妻の気持ちも考えてほしいものです。

自分勝手な夫

勝手な思い込みをする夫の典型的な例が、「妻も賛成してくれるはず」と思い込んで、地方移住を決めてしまうことです。夫の知らないところで、妻はいろいろな方とコミュニケーションを交わし、生活スタイルを築き上げています。そこへ突然、田舎で暮らすぞと言われても、一人でご勝手にと言わざるを得ません。

老後を円満に暮らすために知っておくべきこと

高齢者の就労支援などを行っている企業が、全国の50代男女を対象に実施したアンケートによると、6割近くの夫婦が、老後の生活についての話し合いを設けていないと回答しています。老後の過ごし方や働き方について、3割が夫婦間に相違があると感じていながら、お互いの希望を把握していない状況です。

夫婦円満に老後の時間を過ごすためにも、定年後にやりたい事や、どのように過ごすのか、夫婦のライフスタイルについて、定年前にしっかり話し合っておくことが大切です。

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