海外移住でスローライフを楽しむ

老後の海外移住「ロングステイ」というスタイル

長期的に移住はするものの、いずれは帰国するつもりで、リタイア後に海外での生活をのんびりと楽しみたいと考える方が増えています。退職者向けの「リタイアメントビザ」を発行している国もいくつかあり、海外で年金生活の夢を叶えたいと考えている方も多いようです。

このページでは、老後の海外移住先として人気の国から、海外生活のメリットやデメリット、ビザの取得にかかる費用、ビザの取り方などを併せてご紹介します。

老後の海外移住で人気の国ベスト5

【1位】マレーシア

物価が安く、住環境も良く、比較的治安も良いことから、日本人の移住先として人気です。食べ物も日本人が好む味付けのものが多いマレーシア。ただ国民の半分以上はイスラム教徒であり、マレーシア特有の文化やマナーには気をつける必要があります。

マレーシアには「マレーシア・マイ・セカンドホーム」制度があり、滞在できる期間は最長10年。年齢制限がなく、どなたでも申請可能なビザですが、50歳未満か50歳以上かによって、条件の金額が変わります。

ビザ取得費用と必要条件(1リンギット=25.25円として換算・2020/03/27 時点)

【ビザ取得にかかる費用】

  • 10年分発行:900リンギット(約2万2,700円)
  • JPビザ費用:500リンギット(約1万2,600円)
  • セキュリティボンド費用:1,000リンギット(約2万5,200円)

【ビザを取得するための必要条件】

  • 50歳未満の場合:財産50万リンギット(約1262万円)以上、月収1万リンギット(約25万2,500円)以上
  • 50歳以上の場合:財産35万リンギット(約883万円)以上、月収1万リンギット(約25万2,500円)以上

【2位】タイ

物価が安く、親切な人が多いタイ。50歳以上の方が取得できる「リタイアメントビザ」の条件がゆるいことから、老後の海外移住先として人気が高くなっています。特にバンコクやチェンマイ、サムイ島、プーケット島、パタヤなどが人気です。

物価の安さを上げると、例えばバンコクでは10万円もあれば、日本における30万円程度の生活が可能。日本食レストランや日本食品を扱うスーパーも多く、日本と同様の生活を送れます。もっとタイの生活文化に触れたい方は、北部にあるチェンマイがおすすめです。都心から離れると、より物価は安くなります。

「ノンイミグラントビザ-O」は退職者向けのビザで、滞在できる期間は1年。延長も可能です。

ビザ取得費用と必要条件(1バーツ=3.32円として換算・2020/03/28 時点)

【ビザ取得にかかる費用】

  • マルチプル1年ビザ:2万2,000円

【ビザを取得するための必要条件】

「50歳以上であること」に加え、以下のいずれかの条件が必要です。

  • 預金残高:80万バーツ(約265万6,000円)以上
  • 年金月収:6万5,000バーツ(約21万5,000円)以上、または年収:80万バーツ(約265万6,000円)以上
  • 預金残高+年金による年収:80万バーツ(約265万6,000円)以上

【3位】ハワイ

リゾート地として有名なハワイは、移住先としても日本人に人気の高い国です。レジャースポットが充実しており、ショッピング環境も整っていますが、物価は高め。また治安が良いと思われがちですが、窃盗事件が少なくないので防犯には注意が必要です。

ビザは観光が目的の場合、90日以内の滞在期間であれば長期滞在向けのビザは必要ありません。

長期滞在には比較的取得しやすい、海外の投資家を対象とした「EB-5永住権プログラム」がおすすめです。

永住権取得の必要条件(1ドル=107.9円として換算・2020/03/28 時点)

  • アメリカ移民局が指定する雇用促進エリアへ:最低50万ドル(約5,395万円)の投資
  • 2年以内に米国人10名を雇用(間接雇用可)

【4位】フィリピン

一年中暖かい国フィリピンでは、治安が改善されてきたことに伴い、移住先としての人気が高まっています。

フィリピンの公用語は「フィリピン語」「タガログ語」「英語」です。まずは英語が話せたら生活には困りません。また、生活する上で知り合った現地の方から、フィリピン語やタガログ語を習うという楽しみ方も。セブ島をはじめとしたリゾート地なら、比較的治安も良いです。ただ、水道水が飲めない、エリアによって安全面に差があるなどの注意点は心得ておきましょう。

フィリピンのリタイアメントビザ「SRRビザ」の取得は比較的、条件が緩くなっています。35歳以上であれば申請でき、滞在日数に制限もありません。

ビザ取得費用と必要条件(1ドル=107.9円として換算・2020/03/28 時点)

【ビザ取得にかかる費用】

  • ビザ申請料:1,400ドル(約15万1,000円)
  • 年会費:360ドル(約3万8,000円)

【ビザを取得するための必要条件】

  • 35歳以上50歳未満の場合:資産5万ドル(約539万5,000円)以上
  • 50歳以上の場合:資産2万ドル(約215万8,000円)以上、または年金収入:1万ドル(約107万9,000円)以上

【5位】オーストラリア

日本からの移住先として長年ランキング入りしているオーストラリアですが、投資家向けのリタイアメントビザは、現在発給終了となっています。

長期滞在が可能なビザはいくつかありますが、いずれも取得が難しくなっています。一例として「技術独立永住ビザ」の取得条件をご紹介します。

ビザ取得費用と必要条件(1オーストラリアドル=66.58円として換算・2020/03/28 時点)

【ビザ取得にかかる費用】

  • 基本申請料:4,045オーストラリアドル(約26万9,000円)
  • 追加申請費(18歳以上):2,020オーストラリアドル(約13万4,000円)

【ビザを取得するための必要条件】

  • ビザ申請時に18歳以上〜50歳未満
  • 英語能力が規定以上ある(IELTSの点数:6.0以上)
  • 職業がオーストラリアの移民職業リストに載っている技術者
  • 移民職業リストに掲載されている職種において、申請前から2年以内に1年以上の実務経験がある
  • 移民職業リストに掲載されている職種において、技術査定に合格している
  • ポイントテストで合格点をとる

その他おすすめの国は?

タイなどの東南アジアは、海外移住先として人気が高い国も多いですが、気温の高さがネックになるでしょう。暑いのが苦手な方には、インドネシアの高地にある「バンドン」もおすすめです。高地ゆえ通年涼しく、オランダからの入植者がいたことで西洋化も進んでおり、暮らしやすい場所です。

ヨーロッパには「ゴールデン・レジデンス・プログラム」という、居住権がついた投資ビザを発行する国もあります。外国人からの投資を増やすことを目的に、不動産や国債を一定額以上購入すると、居住権がもらえるというもの。資金に余裕がある方なら、選択肢に入れても良いかもしれません。

中でも条件がゆるいのはギリシャです。25万ユーロ以上、日本円で約3300万円以上の不動産の購入が条件となっています。ギリシャに移住し、ヨーロッパをあちこち旅して回るという楽しみ方も可能です。

そこまで資金を確保していないという方は、北アフリカに位置する、モロッコがおすすめ。船を利用すれば、スペインへ渡るのも容易です。外国人が土地を所有することもでき、物価もアジア圏くらいの安さなので手持ちの資金で優雅に暮らせるかもしれません。

オーストラリアとハワイも老後の海外移住先として人気ですが、シドニーのような大都市などでは、日本円で6600万円以上の資産と債権投資、年間570万円以上の所得証明などが条件になります。移住条件がそれほど厳しくないのは、サイパン島やニューカレドニアなどです。

老後の海外移住のリスクを考えておこう!

海外の治安は日本より悪いという意識を持って行動しないと、思わぬトラブルや犯罪に巻き込まれる可能性もあります。移住する前に、海外移住のメリットとデメリットを知っておきましょう。

海外移住のメリット

アジア圏へ移住する場合は、特に物価の安さが一番のメリットでしょう。ただ国によっては、年金収入の場合でも、日本での生活水準より高くなるところもあるので注意が必要です。

リゾート地では、一年中暖かい気候や豊かな自然が魅力です。

また移住前の人間関係を気にせず、新たな言語を習得できたり、その国の文化に触れることで刺激の多い生活を送ったり、といった楽しみ方もできます。

海外移住のデメリット

日本に比べると治安が悪く、公共サービスの質も劣るといったデメリットがあります。言葉や文化の違いから、大きなトラブルに発展する可能性もなきにしもあらず。トラブルに巻き込まれた際に、遠く離れた家族や知人・友人を頼れないという点も心に留めておきましょう。

治安については、海外では、特にひったくりや置き引きなどには注意が必要です。どこにいても犯罪は起こり得ますが、リスクに備えることで、危機を回避できる可能性も高くなります。

また国によっては、道路状況が悪いところも多い様子。歩道が整備されておらず、交通量も多くて歩きにくいなど、車がない場合は老後の足腰には辛いかもしれません。

気温や湿度の高さも、実際暮らしてみると居心地が悪いと感じることもあるでしょう。

老後の海外移住に下見は必須

どの国を移住先に選ぶにしても、暮らしやすい街かどうか、現地で3ヶ月程度生活して試すことをおすすめします。せっかく移住しても、肌に合わず孤立してしまうと元も子もありません。3ヶ月住んでみて現地の友達ができない、その土地の文化や暮らしになれない、と感じた場合は「移住は向いていない」と考えたほうが良いかもしれません。

1ヶ月から3ヶ月間の短期滞在を体験する際は、あまり考え過ぎず、思いついた国へ遊びに行く感覚で住んでみるのも良いでしょう。ビザの条件がゆるい国を探すより、住みたい国でのビザの取り方を考えたほうが良いです。「どうしてもこの国に移住したい」という気持ちを優先させましょう。

短期滞在中は、現地の雰囲気だけでなく、できるだけ多くの情報を集めましょう。きれいな景色や、広い家に憧れる方も多いですが、意外に短期間で飽きてしまうものです。またホテルや観光地などは、ビジネスマンや観光客を対象に、良質なサービスや雰囲気を盛り上げる要素が盛り込まれているため、良い国だと錯覚しがち。その国のリアルな文化や風土に触れるためには、できれば現地の住民が住むエリアで生活してみることをおすすめします。暑さや寒さ、湿度、虫の多さなど季節によっても生活環境は変わるため、同じ時期ではなく、春夏秋冬、その季節ごとの地域の顔を見ておけると理想的です。移住する前に、何度でも現地での生活を体験してみましょう。

短期滞在に発つ前には、現地での過ごし方も考えておく必要があります。特に大切なのは食事です。どうしても日本食が欲しくなり、輸入する方もいるようですが、大変出費がかさみます。それから、言葉の壁は重要です。簡単な日常会話だけでも日本で覚えておけば、移住開始直後に「買い物がうまくできない!」「道を尋ねられない!」などの些細な点が困りません。

その土地で実際に暮らせるのかどうか、生活する上でネックとなりうる、あらゆることを考えてみましょう。

老後の海外移住の前に必要な準備

下見を兼ねた短期移住で、移住先に目星がついたら、いよいよビザを取得します。海外で快適に生活するために、以下の5つのポイントを押さえておきましょう。

ビザの取得

長期滞在のビザは、必ず取得しなければなりません。

老後に海外移住をして年金生活を送りたい方には、比較的取得しやすい「リタイアメントビザ」に対応している国がおすすめです。

ビザを発行するために必要な条件や書類などは、国によって異なります。ビザを申請する前に、移住したい国の政府観光局や、大使館などで必要な情報を確認してから申請するようにしましょう。

現地の状況を知る

移住前には、国や地域の基本的な情報から、日本大使館・領事館などの連絡先、日本人が住んでいる地域があるかどうか、日用品を買えるお店、日本語や英語に対応している病院など、現地で生活するために必要な、さまざまな情報を集めましょう。

保険制度や医療事情をチェック

年金や税金に関しては、年金事務所や税務署で所定の手続きを行いましょう。

また、医療費の全額負担を避けるため、移住先でのケガや病気に備えて、海外医療保険へ加入しておくことも重要です。現地の医療費や、保険制度に加入できるかなどを確認しておきましょう。

マネープランを立てる

日本の医療機関にかかるために、日本に住民票を残していると、当然ながら住民税がかかります。

また治安の良い地域に移住するとなると、住宅の費用も高くなります。物価が安いからと安易に決めてしまうと、予想外の出費や将来的な物価の上昇に対応できなくなる可能性も。リタイアまでにまだ年数があり、海外移住は当分先…という方は、十分な資金を貯蓄しておきましょう。

生活費の送金手段

海外生活では、為替レートの変動によって、日本円のレートが下がることもあり、資金面で常に注意が必要です。

カード類を利用できると送金方法は簡単ですが、カードが使えない場合は、日本から送金するか、持参するかという手段を取らなければなりません。外国への送金処理には、各手数料が発生するので、こちらも事前に調べておきましょう。

ネット銀行は手数料も安く、手軽に利用できるのでおすすめです。