国内移住でのんびり暮らす

老後の国内移住におすすめの都道府県は?

出身地へのUターンを含め、老後は生活コストを下げるため、地方でのんびり暮らしたいと考える方が増えています。中には知らない土地をあえて選び、終の住処として移住する方もいるようです。

ここでは、老後の国内移住にはどんなメリットがあるのか、デメリットも合わせてご紹介します。さらに人気の地域や移住する前の注意点などもまとめました。

国内移住のメリット・デメリット

老後に国内移住するメリット

地方に住む一番のメリットは、土地や建物、家賃が安いことと、物価が安いという点です。不動産の安さをあげると、例えば、3,000万円を資金とした場合、東京23区では1LDKマンションが買えるかどうかという金額ですが、地方では一戸建ての新築住宅が建てられるところもあります。

緑豊かな自然に囲まれた田舎は、食べ物はもちろん、水や空気までおいしく、のんびりと暮らせます。海や山に近い地域では、新鮮な魚介類や野菜、山菜なども安く手に入ります。土地も安いところが多いため、敷地内に畑を作り、憧れの自給自足の生活を送ることも可能です。

海外へ移住するのとは違い、言葉が通じないという心配も不要。安全面・生活面でも便利です。

また緑豊かな田舎では住民たちの距離感も近く、地域住民がお互いに助け合って生活しています。老後にはそういった「人との交流を大切にしたい!」と思う方にとって、国内移住は最適かもしれません。

老後に国内移住するデメリット

地方への移住で一番ネックになるのは、移住先でのストレスです。住み慣れた場所とは勝手が違うのは当たり前ですが、地域住民と反りが合わない、方言がなまりすぎていて何を言っているのかわからない、端々に話が通じないというのは、結構ストレスがたまります。

また交通機関が少なく、建物から建物までの距離が離れているような田舎では、車がないと買い物も不便な場所もあります。高齢になると車の運転もできなくなるため、適度に交通機関が整っている地域を選ぶのも一つの方法です。

不動産単価が安いエリアほど、徒歩圏内にスーパーやコンビニなどが少なくなります。この点は、都会から移住した時、不便や寂しさなどを感じやすい点でもあります。

自宅の近くに病院がない場合も同様です。病院へ通院したくてもバスや車がない場合はタクシーを利用する方も多く、交通費はかなりかさみます。

地方は優しい人が多い印象ですが、よそ者に冷たい地域がないとも言い切れません。小さな行き違いから、トラブルに発展する可能性もあります。

老後の国内移住に人気の都道府県

車での移動も高齢になるにつれできなくなるため、なるべく交通機関が整っていて、自然にも恵まれているような、条件の良い地域を探したいものです。参考までに、「認定NPO法人 ふるさと回帰支援センター」が発表した、“2018年移住希望地域ランキング”のベスト3をご紹介します。

【1位】長野県

新幹線を利用すれば、東京から2時間程度とアクセスも良く、リゾート地のイメージが強いことで人気が高いようです。水や空気もおいしいと評判。美しい山脈と川に囲まれた自然豊かな土地で、夏も涼しく過ごせます。山脈の入り口には「神の降り立つ地」と呼ばれる日本屈指の山岳景勝地「上高地」があり、観光客から登山客まで、多くの人が訪れています。夏は毎日の散歩やハイキング、森林浴、冬はスキーや温泉などが楽しめる、自然を満喫したい方におすすめの県です。

【2位】静岡県

東京や名古屋まで、新幹線で1時間程度とアクセス良好。世界遺産に登録されている「富士山」があり、四季折々の風情を楽しめ、一年中過ごしやすい気候という点で、人気が高くなっています。住民も穏やかな方が多く、のんびりした生活が送れる地域です。みかんやワサビ、お茶、しらす、桜えびなど自然の恵みが豊富で、鰻や餃子などの名産品も人気。都会過ぎず田舎過ぎず、ちょうど良い住環境で、豊かな食文化に憧れる方におすすめです。

【3位】北海道

自然が豊かなこと、また海産物がおいしいことから人気が高い北海道。山菜取りや釣り、キャンプ、登山など、アウトドアが好きな方におすすめです。

梅雨の期間がとても短く、夏場でも気温が20度程度のところもあり、過ごしやすい環境といえます。わざわざミネラルウォーターを買わずとも、水道の蛇口から、いつでもおいしい水が流れます。

雪国の特権として、冬はウィンタースポーツが盛ん。スキーやスノーボード、スケートなどが好きな方にもおすすめです。

物価も安く、家賃5万円程度で広々としたマンションが借りられます。

空港の数が多いので、他の主要都市へのアクセスも良好です。最近では格安航空も多く発着しており、さらに人気が高まりつつあります。

参照元:認定NPO法人 ふるさと回帰支援センター 2018年移住希望地域ランキング公開

その他の老後の国内移住におすすめの地域は

住宅・不動産の総合情報サイト「SUUMO」の“全国版 気になるランキング『老後を過ごしたい都道府県は?』”をみると、関東圏の方が回答した、老後を過ごしたい都道府県の一番人気は、沖縄県。2番目は東京都、3番目が神奈川県、4番目が北海道、5番目が千葉県となっています。北海道から関東、北陸、東海、関西、四国、沖縄までの各エリアの回答を比べてみると、圧倒的に人気のある県は、沖縄県です。暖かくて、きれいな海があり、のんびり暮らせそうというイメージから、人気が高いようです。ただ実際の沖縄は物価や住居費があまり安くないこと、電車がない交通の不便さなどのデメリットも考慮する必要があります。

参照元:SUUMO 全国版 気になるランキング『老後を過ごしたい都道府県は?』

プチ移住という選択肢もある

年金をもらうようになって初めて、年金にも税金がかかることを知る方も多いようです。あてにしていた年金収入だけでは生活が苦しく、夫婦のどちらかが亡くなっても、残された方は収入が激減。家計崩壊という不安を、常に抱えている方もいるのではないでしょうか。

そのような背景があり、生活コストを下げるべく大都会を離れ、地方へ移住する方も増えています。

例えば、愛媛県の松山市での住宅費は、東京に比べると約1/3。食材の物価も1割程度は安くなります。気候も暖かいため、光熱費も節約できます。路面電車が走っており、交通の便も良好です。路面電車は階段を上がったり下がったりしなくても良いので、老後の足腰にも優しい交通機関。温泉までも近く、とても便利な地域です。

とはいえ、住み慣れた土地を離れて遠くの新たな土地へ移住するには、なにかと気が重いもの。

なるべく環境を変えずに生活費を抑えたい、そんな方におすすめしたいのが「プチ移住」です。生活圏をあまり変えることなく、住宅費や光熱費、食費などの生活コストを下げられます。

東京から千葉へプチ移住したTさんの体験談

東京都23区内で小さな工場を営んでいたTさん(65歳)は、元の住居を約3,500万円で売り、それを元手に結婚した娘さんが住む千葉県に築5年の中古住宅を購入して移住。移動距離は、最寄駅からたった4駅先の、約10分で着く地域への移住です。中古住宅は2,200万円で購入したので、引っ越し代を引いても、手元には1,000万円程度の資金が残っています。

さらに、固定資産税は年間22万円から、新居に移ったことで14万円に。国民健康保険料も、年間20万円から16万円に下がったそうです。

国民健康保険料は、市区町村によって変わるため、節約を意識するのであれば、チェックは欠かせない項目。

Tさんのように、少し郊外へ移り住み、住まいをサイズダウンさせると、子供が独立した夫婦2人で住むにはちょうど良く、固定資産税や国民健康保険料などにかかる費用も節約できるのです。

例えば東京都内でも、葛飾区と町田市では、国民健康保険料が、年間20万円程度も違います。

このように、選択する移住先によっては生活費や税金などを節約でき、老後にゆとりある生活を送れる可能性もあるのです。

老後の国内移住で後悔しないためのチェックポイント

物価や生活費

住みたい地域の住宅価格や家賃相場、食料品などの生活用品の物価、介護保険料など、生活に必要なあらゆる費用を確認しましょう。

1ヶ月の生活費はいくら必要かを、実際に紙に書き出して確認するのがおすすめです。

気候

本州から北海道や沖縄へ移住する場合、夏と冬の気温の差が激しく、予想以上の暑さや寒さによって、思いのほか快適に過ごせないことも考えられます。

可能であれば、過ごしにくいと予想される時期に短期間住んでみることをおすすめします。また気候と同様に、住民や土地の雰囲気をチェックすることも大切です。

交通機関などの移動手段

希望する移住先には交通機関が整っているか、ショッピング環境、病院などは揃っているかを確認しましょう。

特に豊かな自然を求めて田舎へ移住する場合は、急病時はもちろん、災害時にも慌てないように、移動手段を確保する必要があります。車を所有している場合でも、いざというときに運転できる状況にあるとも限りません。

老後の国内移住には、安心のためにもできれば公共の交通機関やタクシーを利用できる地域を選ぶようにしましょう。

医療体制や老人介護施設

移動の労力はもちろん、通院費などを節約する意味でも、病院や福祉施設が近くにあるエリアを選ぶのがおすすめです。

移住先の病院や福祉施設の情報を、事前に調べておきましょう。

老後の国内移住における注意点

閉鎖的な地域もある

Uターン移住の場合は大して問題ではありませんが、まったく知らない土地へ移住する場合は、その土地の生活習慣や古くからの習慣に戸惑うこともあるでしょう。

田舎は閉鎖的な側面もあり、よそ者を警戒する地域も。地域住民になかなか溶け込めず、孤立してしまう可能性もあるので、移住先は慎重に選ぶ必要があります。

国内移住は海外移住と違い、ビザの申請も不要なため、安易に考えがちです。まずは、住みたい地域の情報を十分にリサーチし、実際に賃貸住宅を借りて、2~3ヶ月程度の移住を試してみると良いでしょう。

住みたい地域の情報を集めるには、その土地で長く営業を続けている不動産業者をあたるのがおすすめです。

十分なリサーチとお試し移住を経て、最終的な移住先を決定しましょう。

交通や生活が不便な場合もある

都会は交通機関が整っており、2~3分待てば電車に乗り込めますが、移住先も同じとは限りません。地方の田舎では電車の本数も少なく、駅までかなり距離がある場合も多いです。バスも1日に2~3本程度しか走っていないエリアもあり、車を保有していないと生活が難しい過疎地域もあります。

交通の便だけでなく、スーパーが早い時間に閉まってしまうなど、生活の面での不便な点もあります。公的機関や病院などが遠い場合は、不安を感じるかもしれません。

現在住んでいる家を処分する方法を決める

住宅の処分方法には、大きく分けて「売却」「賃貸活用」「生前贈与」「家族信託」の4つの方法があります。

不動産を処分するには、手続きにかなり時間がかかるため、なるべく早めに処分方法を考えておく必要があります。

面倒だからと放置したまま移住すると、税金が高くなったり、自治体からの命令で取り壊す羽目になったりするので、注意しましょう。

不動産の処分方法をどう選ぶ?

売却

家を売却し現金に変えることで、移住に必要な資金を確保できます。固定資産税などの支払いも不要になり、自分の死後、遺産相続などで家族がもめる心配もありません。気持ち的にもスッキリし、新たな気持ちで移住先での生活を楽しめるでしょう。

賃貸活用

移住から数年後に再び元の地域に戻る可能性がある場合や、自宅を売却したくないなどの希望がある場合は、賃貸として活用する方法も。賃貸活用を行うことで家賃収入が発生するので、移住先での生活費の足しにできます。ただ家が古く、駅から遠い、交通の便が悪いなど、賃貸に向かない住宅もあります。

生前贈与と家族信託

後々、家を相続するつもりであれば、「生前贈与」や「家族信託」といった選択肢もあります。ただ、家族と何度も話し合いを重ねたり、手続きにも時間がかかったりするため、移住先探しと並行して相続の手続きを進めることが大切です。