シルバー人材センターとは、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に基づいて市区町村ごとに設置されている公益法人。60歳以上の健康的な方で、勤労意欲のある方であれば登録可能です。ファミサポとはファミリーサポートセンターの略称で、子育てを手伝ってもらいたい方と子育てを手伝いたい方の互助援助活動組織。無償ではなく、有償ボランティアとなります。
シルバー人材センター・ファミサポともに、利用者からの依頼がなければ仕事も給料も発生しません。安定した収入を得るのにはあまり向かない職場ですが、シルバー人材センターで月に10日前後働いた場合の月収は3~5万円ほど。家事手伝い・事務作業・植木の剪定など、仕事内容によって単価は異なります。ファミサポの報酬は市区町村によって異なりますが、1時間あたりの子育て援助で700~900円が一般的。企業が運営しているベビーシッターなどに比べると、かなり安価となります。
シルバー人材センターが働き手として募集しているのは、「退職後や老後でも何らかの仕事を続け、社会とのつながりを希望する」人。地域への参加が目的となるため、地元周辺での仕事が中心となります。仕事の分野は、草刈り・施設清掃・包装といった屋内外軽作業、家庭内の掃除や介護の補助といった福祉・家事サービス、障子の貼り換えや植木の手入れといった技能を活かした仕事まで多種多様。これまでに培ったスキルを活かせるため、老後の仕事として注目されています。
一方、ファミサポは育児経験を活かせるのが特徴です。仕事内容は保育園への送迎、保育園や学校が終わった後の子どもの預かりなど。老後の空いた時間を有効に活用でき、子育て世代から喜ばれる仕事として人気を集めています。
シルバー人材センターに登録するには、住んでいる市区町村のセンターが行っている説明会に参加し、入会手続きをすることが第一。そこで登録した内容と依頼がマッチすると、仕事が紹介されるというシステムです。ファミサポで子育てのサポートをしたい方は、まず援助会員としてセンターに登録します。特別な資格は必要ありませんが、育児に関する研修会などに参加することもできます。
シルバー人材センターが向いているのは、健康で働く意欲がある人、地域に貢献したい人、センターの趣旨に賛同できる人となります。ただしシルバー人材センターの仕事には就業日数の保障がないため、安定した収入を求めている方には向きません。金銭的にある程度のゆとりがあり、依頼があるときだけ気軽に仕事をしたいといったタイプに向いているでしょう。
ファミサポでの仕事に向いているのは、相互援助活動に理解がある人、子どもが好きな人、責任感がある人、自宅で子どもを預かれる人となります。子育て経験がある方は、それを活かせる仕事となりますが、自分の子育て論を押しつけたりせず、現代の子育てに合わせたサポートをできるタイプが適しています。
「仕事」というには、収入が不安定で少ないので、あくまでお小遣い稼ぎ程度でいい人にしかおすすめできません。もう少し安定した収入を得たい、という方は、他の仕事も見てみてください。
シルバー人材センターでは、登録者に仕事を提供していますが、登録可能な年齢は、60歳以上という制限があります。
一般の求人サイトを利用して仕事を探す場合は、求職者が各企業の求人情報を閲覧して、希望するところに応募し、採用試験を経て採用という流れになります。
一方、シルバー人材センターは、官公庁や企業、一般家庭などから、短期の臨時の仕事や簡単で容易にできる業務を請け負い、希望する登録者に仕事を提供するという流れになっています。
シルバー人材センターの会員である高齢者は、委任や請負の形で業務を引き受け、その仕事の内容によって収入を得るという仕組みのもとで働くことになります。
シルバー人材センターの会員は60歳以上を対象としているため、依頼される仕事もシニア世代の能力でできる範疇のものに限られます。
主な仕事は、一般事務や経理、草刈り・草取り、販売、衣類リフォーム、翻訳・通訳など、さまざまなものがありますが、各センターでそれぞれ提供される仕事内容は異なります。
シルバー人材センターで得られる平均収入は、月8〜10日働いた場合で、3〜5万円程度。もらえる収入もセンターごとに異なります。
シルバー人材センターでは、仕事の提供のほか、さまざまなサポートを行っています。例えば、未経験や経験が浅い仕事を引き受けたい場合、シルバー人材センターで実施されている講習を受講することでスキルアップでき、新しい仕事にもどんどんチャレンジが可能となります。
また、社会とのつながりを持つことで、高齢者が生きがいを見つけられるようにという目的から、サークルやボランティア活動も行われています。
着付け教室やパソコン教室、庭木の手入れ、清掃ボランティア、保育園ボランティアなど、さまざまな活動があります。
シルバー人材センターは、「定年後も働き続けたい」と希望する高齢者が増加したことを背景に、1975年、東京都に「高齢者事業団」として設立されたのがはじまりです。
高齢者の経験や能力を生かして働きながら社会参加ができ、生きがいを確保するという考えを支持する人も多く、全国各地に広がっていきました。
1980年になると、国の補助金制度が設けられ、1982年には、「社団法人 全国シルバー人材センター協議会」が発足。その後、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」が施行され、何度かの改正を経て、就業時間の上限などの要件緩和や、職域の拡大などの措置がとられています。
シルバー人材センターは、「高齢者が働くことを通じて生きがいのある生活を得ること」と、事業を通して「地域社会の福祉向上・活性化に貢献すること」を目的としている組織です。
原則として各市区町村に置かれており、都道府県知事より指定を受け、それぞれが独立して事業を行っています。