「Continuing Care Retirement Community」の略で、健康な高齢者が入居する生活共同体です。定年退職したシニア層が健康なうちに入居し、その後、介護が必要になっても、変わらず支援サービスが受けられるコミュニティーのことを指します。
近年、耳にする「アクティブシニアタウン」ともいえる生活スタイルですが、発祥はアメリカ。アメリカでは、2017年時点で2,000箇所もの施設があり、約75万人のシニアが生活しているとされています。施設によって設備も異なり、図書館や商業施設、ゴルフ場やボーリング場などのレジャー施設が併設されているところも多いようです。もちろん、医療や介護面でも充実しており、予防医療や健康指導までサポートされます。ただし、入居には高額な費用がかかります。
アメリカより高齢化問題が深刻化している日本においても、「CCRC」が注目されています。
日本のCCRCは、高齢化が特に懸念される東京圏をはじめとして、高齢者が地方へ移住し、健康的で活動的な生活を送ること。さらに医療介護が必要であれば、継続的にケアが受けられるような地域づくりを目標としています。
アメリカと違い日本のCCRCの特徴は、高齢者を地方へ移住させる流れを採用していることです。この背景には、東京都に住む50代〜60代の多くの人が、「地方への移住を検討したい」との希望をあげている理由があります。また、行政側にも、高齢者の毎月の生活コストが抑えられる、地方への移住をすすめる狙いがあるようです。
しかし、住みなれた都会から地方へ移住することに、抵抗を覚えるシニアも多いことから、近年、東京近郊にも施設が増えてきています。
従来の高齢者向け施設は、要介護になってから入所するのが一般的です。しかし、CCRCでは、高齢者が健康な状態から入居させ、健康寿命をできるだけ伸ばすことを基本目的としています。
また、従来の施設などでは、高齢者が受け身でサービスを受けていましたが、CCRCの場合は、高齢者が地域活動や生涯学習、仕事などの活動に自主的に取り組むという位置づけになっています。
老人ホームや介護施設は、地域の子どもや若者と交流する機会はほとんどありませんが、CCRCは、オープン型となっており、多世代が交流・協働して住むことが基本とされています。
老人ホームなどと同様に、CCRCの費用は「入居一時金」と「月額利用料」がかかります。
分譲型CCRCの場合、入居金は施設のグレードによって異なりますが、1,000万円〜数千万円が相場となっています。月額利用料は、高齢者夫婦世帯の標準的な年金額とされる、21.8万円が基本となっています。