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シニア住宅リフォームの費用相場は?

住宅リフォームの相場

老後の快適な暮らしを考え、老朽化した家のリフォームを考える方も多いでしょう。家中の段差をなくし、バリアフリーにすれば、年を経て介護が必要になっても今までと同じように自宅で生活できる可能性が高くなります。ただ、リフォームを行う部分によって必要な費用が変わってくるため、必要な工事やどの程度費用がかかるのかを考えておくことが大切です。

シニアの住宅リフォームとして1,000万は妥当?高い?

一人暮らしの場合は、計画を立てたり、業者と交渉したり、全て自分で行わなければなりません。住宅に関して全く知識がない場合は、不安な点も多いでしょう。リフォームで耐震性や断熱性を強化し、今後に備えてバリアフリーを検討する方は多いですが、相場がわからないとの声も。

「一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会」の調査によると、60歳代で一戸建てのリフォームにかけた金額は、「100万円超300万円以下」が約3割と最も多く、続いて「500万円超1000万円以下」「1000万円超」が、2割程度という結果になっています。

平均的な広さの家の場合、窓ガラスやサッシ、水回りの設備の交換に加え、床暖房システムを入れると、「1000万〜1500万円程度」かかります。当然、リフォームは際限なくお金をかけられるので、シニア世代のリフォームでは、お金をかけて直すべきところと今のままで問題ないところを分けて考えるのが良いでしょう。

リフォーム工事の目安費用

リフォームを計画する際に知っておくべきことは、各工事で費用がどれくらい必要かということです。

例えば、階段の壁に手すりを設置する場合、長さ50センチで1万円が目安となっています。壁を補強する場合は、さらに1万5000円程度プラスすることに。手すり1本を設置するような簡単な工事の場合でも、職人の人件費がかかるため、費用は割高になります。

部屋と部屋の仕切りに段差がある場合は、つまずいて転倒するなどのリスクがあります。老後を快適に暮らすためには、バリアフリーにして段差を解消することも大切です。例えば、6畳の和室の床を下げ、廊下との段差をなくす工事を行った場合の目安費用は、25万円。床を上げる場合は、6畳で15万円程度です。

浴室については、古いタイプの浴槽を広く浅いユニットバスに取り替え、脱衣室との段差をなくす工事を行う場合、相場は70万円。ヒートショック防止に浴室暖房をつける場合は、ガス式で30万円、電気式では18万円ほどかかります。

住宅リフォームでバリアフリー化を施す部分は、床や階段、部屋、廊下など、工事が必要な箇所がたくさんあります。一度に改修すれば人件費などのコストが抑えられますが、難しい場合は、気になるところから部分的に改修しましょう。一般的なバリアフリー化のポイントは、「段差をなくす」「手すりを取り付ける」「ドアを引き戸にする」「ヒートショック対策」「足元を明るくする」「滑りにくい床材にする」などです。

バリアフリー化の工事費は高額な印象もありますが、「要支援」や「要介護」の認定を受けると、実質負担額を抑えることも可能です。対象になる工事は、「手すりの設置」「段差解消」「洋式トイレへの取り替え」「浴槽の交換」で、工事費は20万円までの場合で、1割負担になります。

またバリアフリー化や断熱性を高める目的でリフォームを行う場合は、条件を満たすことで「固定資産税」や「所得税」を軽減できます。自治体によって高齢者向けの支援制度を設けているところも多いので、問い合わせてみましょう。

リフォームを成功させるための注意点

リフォーム業者を選ぶ際は、最初から1社に絞るのではなく、2〜3か所の業者から見積もりを取ることが重要です。

一人で対応する場合は、専門家に相談すると良いでしょう。建築士会など、無料相談を受け付けているところもあります。

介護が必要になったときのことを考え、リフォームを検討することはとても大切なことです。子供が独立して日当たりの良い2階にリビング・ダイニングに変える方も多いようですが、いざ要介護になったとき、階段の上り下りは非常に負担がかかります。老後に快適な暮らしができるかどうかは、さらに先を見据えた計画や準備が必要といえます。

リフォームをはじめる時期

リフォームに最適な時期という基準はありませんが、できるだけ元気なうちにはじめることが大切です。

見積もりをとってリフォーム業社を決めてから、工事契約、プランニングなどの準備期間を経て、工事が終了するまで、1〜3ヶ月以上かかることもあります。その間、キッチンやお風呂などの水回りのリフォームでは工事中使用できなくなるため、外食が増えたり銭湯へ通ったりと生活費の面での負担も大きくなるでしょう。

自宅での転倒による骨折も多く、車椅子生活になってから不便を感じて初めて、リフォームを考える方も多いようですが、そうなってからでは遅すぎます。リフォームは、50代から60代前半の体力のあるうちに始めるのが理想的です。

ただ、手すりの取り付けや、バリアフリー化などの工事は、「要支援」や「要介護」の認定を受けた65歳以上の方は、助成金が出るケースもあるので、チェックしてからリフォームを検討してみましょう。

建て替えとフルリフォームのどちらを選ぶべき

家をすべて取り壊した後、同じ場所に新しく建てることを「建て替え」といいます。一方リフォームは、現存の家をそのまま活かし、老朽化した部分を作り変えたり、補強したり、設備を入れ替えるなどの改修を指します。

建て替えには、解体費用から建材費用のほか、各種税金も加わり、大きなコストがかかります。一般的な解体費用の相場は、坪単価で30,000〜35,000円程度。20坪で計算した場合にかかる解体費用は、60〜70万円になります。坪単価50万円で家を建てるのにかかる費用は、1,000万円。諸経費も入れると、1,200〜1,300万円ほどの費用が必要になります。

同じ規模でフルリフォームを行う場合の費用感は、構造部分からデザインや間取りをやり直すスケルトンの場合で600万円〜900万円。大きな間取り変更を伴うリノベーション工事を600万円で行う場合、デザイン料が60〜120万円、さらにその他諸々の費用が60〜120万円程度かかります。工事中に仮住まいを用意しても、総費用は752〜872万円が相場です。

子供世代が住み継げる家にするには?

間取りを大きく変更するような大規模リフォームを行っても、長く住み継ぐには、継続的にメンテナンスを行う必要があります。

大々的なリフォームを無駄にしないために、防腐効果の高い外壁や白アリ対策、地震対策などを重点的に行うことも大切です。できればリフォーム時に、10年以上先を想定した対策を取り入れ、なるべくメンテナンスが必要ない状態にできると理想的でしょう。

住みながらでもリフォームは可能か

家の外壁などのリフォームや水回り設備の交換など、小規模なリフォームで済む場合は、工事中も普段通りに生活することが可能です。

ただ、間取り変更を伴うスケルトンやフルリフォームによる大規模なリフォームを行う場合は、工事期間中は自宅で生活できないため、仮住まいを用意する必要があります。

敷金礼金が不要なマンスリーマンションを借りるのが一般的ですが、少しでも費用を節約したいのであれば、親族の家を頼りにするのも一つの方法です。

老後の夫婦2人暮らしの間取り

子供が独立した後、夫婦二人で暮らすには、寝室用の部屋を1つと、少し広めのLDKがあれば快適な生活ができます。

部屋が余っている場合は、リビングと一続きにして広々とした空間にするのも良し、あえて残して夫婦の寝室を別々にしたり、書斎や趣味の部屋として使ったりしても良いでしょう。

どんな間取りにするかは自由ですが、老後のことを考えるなら、生活導線は1階部分にまとめるのがおすすめです。

特に寝室が2階にあると、高齢になった時に単に階段の上り下りだけでなく、食事の時やお風呂へ入る時、トイレへ行く時など、常に足腰へ負担がかかります。

また、老後にこそフルリフォームで自由な暮らしを実現するのもおすすめです。

防音設備を入れて楽器を演奏したり、カラオケ設備やホームシアターを設置したり、高級感あふれるキッチンにするなど、夫婦の夢をかなえるチャンスでもあります。