認知症になる前にできる予防や相続対策

認知症になる前にやるべきこと

誰しも発症するとは限りませんが、高齢になるほど認知症を発症する可能性は高くなります。土地や家屋、資産などがある場合は、相続の問題もあるため、家族が困らないよう認知症になる前に意思表示しておく必要があります。家族のためはもちろん、元気なうちに自分の意思表示をしておくことで、老後の不安も軽くなるでしょう。

自分の希望をまとめる

生年月日や自分史、持病やかかりつけの病院名、保険証、年金手帳の保管場所など、認知症になってからでは家族が困る情報を全てまとめておきましょう。親族や友人の連絡先やそれぞれの関係をリストにまとめることも大切です。

現在パソコンを使っている人は、パソコン上の情報や、メール、オンライン口座など、万が一のときに家族が確認できるようにしておきましょう。

葬式を行う場所や規模、お墓などの希望もハッキリ記しておきます。

自分の希望をまとめる際は、「終活」を行うときに自分のことなどを記しておく、「エンディングノート」を活用しても良いでしょう。

資産についての対策

土地や有価証券、預貯金などの資産を目録にしておくと分かりやすいです。預貯金の口座については、必要最低限に絞って整理し、家族と話し合いをするなど、財産を管理しやすい状態にしておきましょう。

生前贈与や相続についてどのようにするかを決め、税金対策も考えながら計画的に進めていきます。遺言書を作る場合は、法的効力が認められる形式に合わせて作成しましょう。

任意後見制度

成年後見制度の一つである「任意後見制度」は、認知症などで自己判断が難しくなったときのために、将来サポートしてくれる代理人と一緒に、支援の内容を決めておけるものです。認知症のために自分で判断できなくなった際に、自分の財産管理や、介護サービスの手続きなどを代理で行ってくれる重要な役割なので、信頼できる人を選ぶことが大切です。任意後見制度の手続きでは、元気なうちに、公正証書で誰にどういったことを支援してもらうのか、契約書を作成して登記する必要があります。

成年後見制度には、認知症を発症してから手続きできる「法定後見人制度」もあります。任意後見人と違い、成年後見人には、未成年など法律上で相応しくないと思われる人以外、どなたでも選べますが、最終的な選任は家庭裁判所が行うことになります。いずれの場合も、選任された後見人がきちんと仕事をしているか、家庭裁判所が専任した監督人がチェックします。

家族信託

成年後見制度は認知症を発症した時点から職務を行えますが、家族信託の場合は、十分に判断能力があるうちから家族や親族に財産管理を任せられます。

家族信託は成年後見人と違い、信託契約に違反しない程度であれば、積極的に節税や投資など財産管理・運用が行えます。

認知症になる前に食事で予防

認知症の予防にはいろいろな方法がありますが、中でも積極的に行っていただきたいのが「食事の見直し」です。食事を見直すことで、認知症の予防だけでなく、生活習慣病の予防にもつながります。

認知症予防に良いとされる食材

青魚

イワシやサバ、サンマなどの青魚には、悪玉コレステロールを減らしてくれる働きが期待できる「DHA」や「EPA」が豊富に含まれています。悪玉コレステロールが増えると認知症のリスクが高まるとされていることから、積極的にとりたい食材です。

「DHA」や「EPA」は上述した魚のほか、マグロのトロや真鯛、うなぎ、しらすなどにも多く含まれています。

大豆

豆腐や納豆、豆乳、おから、味噌などの大豆製品には、記憶力の働きを助ける神経伝達物質「大豆レシチン」が豊富に含まれています。また、納豆には血栓を防ぐ「ナットウキナーゼ」が含まれているので、おすすめの食材です。

野菜・果物

ニンジンやカボチャ、アスパラガス、ほうれん草などの緑黄色野菜は、ビタミンEやビタミンCが豊富で、認知症予防だけでなく、体を健康に保つためにも積極的に取りたい食材です。血管の老化を防ぐ働きも期待できます。

オリーブオイル

中性脂肪や血中コレステロールをコントロールする働きが期待できる、「オレイン酸」が多く含まれています。オレイン酸はオリーブオイルのほか、アルガンオイルやココナッツオイルなどにも含まれています。サラダドレッシングに加えたり、炒め物に使ったり、工夫しながら食事に取り入れてみましょう。

コーヒー・緑茶

利尿作用によって、血液中の不要なタンパク質を排出させる働きのある「カフェイン」が多く含まれています。血流が良くなることで、脳に十分な酸素が行き渡り、伝達機能がスムーズに働くようになります。また、緑茶には抗酸化作用のある「カテキン」が豊富に含まれています。ただ、カフェインは交感神経を活発にさせるため、飲み過ぎると睡眠に影響することもあります。1日に2〜3杯程度に留めておきましょう。

認知症になる前に運動で予防

普段の生活に、バランスの良い食事と適度な運動を取り入れると、身体中の細胞に酸素が行き渡って血行が良くなり、より認知症予防に役立ちます。

認知症予防におすすめの運動は、「ウォーキング」や「水泳」「ヨガ」「階段昇降運動」などの有酸素運動と、筋力アップを目的とした「スクワット」などの無酸素運動です。

運動を無理なく長く続けるポイントは、ほどよい運動量を守ることと、家族や友人などと会話や景色を楽しみながら行うことです。