市町村に納める「市町村民税」と都道府県に納める「都道府県民税」を総称したものが住民税です。東京23区の場合は市町村民税ではなく特別区民税といいます。
住民税は「国内に戸籍があり」「前年に収入がある」人が必ず納めなければならない税金です。
住民税には法人税と個人税がありますが、ここでは個人税について解説します。
個人の場合は所得税のように収入に応じて税額が決まり、控除制度も用意されています。しかし所得税の場合その年の所得額が課税の対象になるのに対し、住民税は前年の所得額が課税の対象に。そのため無職でその年の収入がなかったり、収入が少なかったりした場合でも、所得の額に関係なく、前年に収入があれば、必ずその所得分の住民税を納めなければなりません。
住民税の課税期間は前年の1月1日〜12月31日。その間の所得に課され、納付がスタートするのは課税期間が終わった翌年からです。6月上旬〜中旬頃自宅に納付書が送られます。
会社に勤めている場合、毎月給料から住民税が月割で天引きされる「特別徴収」となります。一方自営業や個人事業主、無職などの人は年4回納付書が送られてきてから支払う「普通徴収」になるのが一般的。1年分の税額を一括で支払うことも可能です。
住民税には「所得割」と「均等割」の2種類の課税方法がとられています。所得割とは所得金額に応じて課税される方法で、所得が多い人ほどより多くの税額を負担することに。対して均等割は非課税の人を除き所得金額に関係なく、平等に同じ税額を負担する課税方法です。
この均等割の税額の増減は県や市区町村の裁量で決まります。これが地域によって住民額の税額に違いが出る理由です。
住民税を納める義務がないのは、生活保護を受けている人や一年の所得金額の合計が各市町村が定める金額以下の人です。また育児休業期間中に受けた給付金は非課税となり、経済的な理由で住民税の納付が猶予される場合もあります。
宮城県では環境問題の対策の一環として「みやぎ環境税」があり、均等割で年額1,200円が設定されています。
岩手県では「いわての森林づくり県民税」と呼ばれる特例で、森林保全や整備を行うことを目的に均等割で年額1,000円が増税。
また山形県では森林の整備や、県民が参加する森づくり活動などを行うための財源として、「やまがた緑環境税」が設定されており、同様に年額1,000円が増税されています。
環境保全をはじめとする目的のもと、均等割で年額1,000円が設定されている都道府県が「岩手県」「山形県」「福島県」「茨城県」「岐阜県」「三重県」と全国に6県存在するため、同率2位となっています。
2006年の財政破綻から、翌年財政再生団体に指定された夕張市。現在も市の財政は苦しい状況にあります。このような場合は特別税率が設定されているため、基準よりも住民税が高くなることがあります。
夕張市の税率は平成29年に見直され、超過税率はなくなったものの特例法による加算が市民税・道民税ともに500円。合算して年額1,000円が、平成35年まで増税されることとなります。
豊岡市では所得割で0.1%が超過課税によって増税されており、市民税は6.1%となっています。また兵庫県の県民税には年額800円の県民緑税が設定されており、均等割で合計2,300円が課税されます。
横浜市では農地や緑地の維持管理のための財源として「横浜みどり税」が定められており、均等割で年額900円が課税されています。また神奈川県には「水源環境保全税」があり、さらに均等割で年額300円が上乗せされ、所得割では超過税率で0.025%の増税となっています。