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年金の受け取り開始は何歳から?繰り上げと繰り下げはどちらがお得か

私たちの平均寿命は今もなお伸び続けています。厚生労働省の発表によると現在の平均寿命は、女性は87.45歳、男性は81.41歳と8年連続で更新中。私たちが70歳を迎えるころには、さらに寿命が伸びていると予測しておかなくてはなりません。

そうなると、年金の受け取りを何歳にするかが非常に重要です。繰り上げ受給して長く受け取るか、繰り下げにして多くを受け取るか、あなたはどちらを選びますか?

年金の受け取り開始はいつから?

年金は2階建て構造になっていて、「国民年金」が1階部分、「厚生年金」が2階部分です。国民年金は自営業や専業主婦も受け取れますが、両方とも受給できるのは会社員と公務員だけです。

  • 国民年金…自営業・専業主婦・会社員・公務員
  • 厚生年金…会社員・公務員

年金の受け取り開始は、国民年金が65歳、厚生年金が60歳でした。国民年金については、今も65歳で変わりません。しかし2013年の年金制度改正において、厚生年金の受給開始年齢が以下のように変更になっています。

男性の受給開始年齢

  • 昭和28年4月2日〜昭和30年4月1日…61歳
  • 昭和30年4月2日〜昭和32年4月1日…62歳
  • 昭和32年4月2日〜昭和34年4月1日…63歳
  • 昭和34年4月2日〜昭和36年4月1日…64歳
  • 昭和36年4月2日〜…65歳

女性の受給開始年齢

  • 昭和33年4月2日〜昭和35年4月1日…61歳
  • 昭和35年4月2日〜昭和37年4月1日…62歳
  • 昭和37年4月2日〜昭和39年4月1日…63歳
  • 昭和39年4月2日〜昭和41年4月1日…64歳
  • 昭和41年4月2日〜…65歳

現在54歳以下の人は、全員が65歳に受け取り開始となります。

年金の受給開始が75歳まで延長

2020年の年金制度改正法により、年金の受け取り開始が75歳まで引き上げられました。つまり受給を開始するタイミングが、60歳〜75歳に大きく拡張されたということです。

ここで覚えていただきたいポイントがこちらです。

  • 繰り上げ受給は1ヶ月ごとに受給額が0.5%の減額
  • 繰り下げ受給は1ヶ月ごとに受給額が0.7%の増額

さて、ここで多くの人が悩むと思います。

「どちらがお得?」と。

繰り上げ受給は1ヶ月ごとに受給額0.5%の減額

60歳〜64歳に受け取ることを「繰り上げ受給」といいます。1ヶ月単位で繰り上げることができ、60歳に開始すればより長い期間に渡って受け取ることが可能です。

一見お得に感じますが、1ヶ月の繰り上げごとに0.5%減額されます。60歳に繰り上げると、

「0.5%×5年(60ヶ月)」で、30%も受給額が減額されるのです。

さらに減額された年金額は、生涯増えることはありません。年金が月額15万円だとすると、10.5万円に減ってしまう計算です。

繰り下げ受給は1ヶ月ごとに受給額0.7%の増額

一方で繰り下げ受給は受給額が上がります。70歳まで繰り下げると、「0.7%×5年(60ヶ月)」で、なんと42%の増額です。年金受給額が15万円の場合、21.3万円に膨れ上がります。通常の受給額よりも多くもらえる分、受給期間は短くなってしまうため、長生きしなければ損をしてしまう可能性が高いです。

お得というだけで受け取り開始を決めるのは危険?

年金はより多くもらえる方がいいですが、60歳でもらうか、75歳まで我慢するかは、個人の貯金残高や健康状態によって適齢が異なります。貯蓄が十分にあり、年金がなくても70代まで生活ができるのであれば、繰り下げが得策かもしれません。だからと言ってお金がないのを我慢し、70歳まで待つのは生活が不安定です。

貯蓄がどのくらいあるのか、健康状態はどうか、しっかりと見極めてから受給年齢を検討するようにしましょう。