私たちの平均寿命は今もなお伸び続けています。厚生労働省の発表によると現在の平均寿命は、女性は87.45歳、男性は81.41歳と8年連続で更新中。私たちが70歳を迎えるころには、さらに寿命が伸びていると予測しておかなくてはなりません。
そうなると、年金の受け取りを何歳にするかが非常に重要です。繰り上げ受給して長く受け取るか、繰り下げにして多くを受け取るか、あなたはどちらを選びますか?
年金は2階建て構造になっていて、「国民年金」が1階部分、「厚生年金」が2階部分です。国民年金は自営業や専業主婦も受け取れますが、両方とも受給できるのは会社員と公務員だけです。
年金の受け取り開始は、国民年金が65歳、厚生年金が60歳でした。国民年金については、今も65歳で変わりません。しかし2013年の年金制度改正において、厚生年金の受給開始年齢が以下のように変更になっています。
現在54歳以下の人は、全員が65歳に受け取り開始となります。
2020年の年金制度改正法により、年金の受け取り開始が75歳まで引き上げられました。つまり受給を開始するタイミングが、60歳〜75歳に大きく拡張されたということです。
ここで覚えていただきたいポイントがこちらです。
さて、ここで多くの人が悩むと思います。
「どちらがお得?」と。
60歳〜64歳に受け取ることを「繰り上げ受給」といいます。1ヶ月単位で繰り上げることができ、60歳に開始すればより長い期間に渡って受け取ることが可能です。
一見お得に感じますが、1ヶ月の繰り上げごとに0.5%減額されます。60歳に繰り上げると、「0.5%×5年(60ヶ月)」で、30%も受給額が減額されるのです。
さらに減額された年金額は、生涯増えることはありません。年金が月額15万円だとすると、10.5万円に減ってしまう計算です。
一方で繰り下げ受給は受給額が上がります。70歳まで繰り下げると、「0.7%×5年(60ヶ月)」で、なんと42%の増額です。年金受給額が15万円の場合、21.3万円に膨れ上がります。通常の受給額よりも多くもらえる分、受給期間は短くなってしまうため、長生きしなければ損をしてしまう可能性が高いです。
年金はより多くもらえる方がいいですが、60歳でもらうか、75歳まで我慢するかは、個人の貯金残高や健康状態によって適齢が異なります。貯蓄が十分にあり、年金がなくても70代まで生活ができるのであれば、繰り下げが得策かもしれません。だからと言ってお金がないのを我慢し、70歳まで待つのは生活が不安定です。
貯蓄がどのくらいあるのか、健康状態はどうか、しっかりと見極めてから受給年齢を検討するようにしましょう。