「老後のことを考えると、どれだけ貯金があっても不安を感じる」と言う人も多いでしょう。しかし中には、貯金なしで老後を迎えようとしている人も少なくありません。男性の平均寿命は81歳、女性は87歳と言われる中で、貯金がない老後をどうやって過ごしていけばいいのでしょうか?
ここでは、老後を貯金なしで迎えるとどうなるか、貯金がない人が身につけておくべき金融知識について紹介しています。そして高齢化社会で生きていく私たちにとって、これからの老後の過ごし方についても解説していますので、ぜひ読んでみてください。
間もなく定年を迎えるというとき「貯金なし」だった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
平成26年に金融広報中央委員会が行った「家計の金融行動に関する世論調査」では、60歳以上の単身者のおよそ3割が「貯蓄なし」という結果でした。また2人以上の世帯においては、およそ45%が貯蓄なしと回答しています。
一方で、金融資産を保有している世帯の平均値は1,537万円というデータもでています。この大きな差については、子どもの教育費や結婚資金に使ってしまったという見解があるようです。
まず生活水準の低下はもちろんのこと、必要なときに医療サービスが受けられなかったり、栄養バランスの取れた食事ができなかったりするリスクが高くなります。年金だけをアテにしていては、健康的な老後を送れないかもしれません。
先ほど紹介した「家計の金融行動に関する世論調査」で、家計の資産負債バランスについて調査したところ、「資産と負債のバランスにゆとりがある」と回答したのはわずか6.4%で、65%以上が「意識したことがない」と答えています。仮にお金のことは夫にすべて任せているという状況では、いざというときに「我が家の資産がどのくらいあるか分からない」という羽目になってしまいます。
参照元:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」 https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2019/
ここまで読んだ方は、「このままでは老後を迎えられない」と不安を持たれたでしょう。そんな方は自分で貯めている「預貯金」や「保険」だけを見ている可能性があります。貯金がない人でも持っている「金融資本」について、詳しく解説していきます。
貯金がないと焦る方は、ご自身で貯めている預貯金のみをイメージしていませんか?サラリーマンには3つの金融資本があり、それらを把握することで安定した老後を計画することが可能です。
世間を騒がせた老後2000万円問題により、「そんな貯金はない!」と悲鳴をあげた方も多いでしょう。しかし会社員であれば、厚生年金や退職金などを受け取ることで、老後も安定して暮らしていくことが可能になります。
多くの会社員が、将来受け取ることが可能な年金額や退職金を把握していません。企業によっては確定拠出年金制度によって、まとまった額を受け取ったり、分散して受け取れたりという環境が整っているはずです。現在も企業に勤めている方であれば、人事に問い合わせてみることをお勧めします。
将来受け取れる金融資本を理解していない人は、焦りからハイリスクの投資などに手を出してしまいがちです。十分な知識がないまま保険の契約をしたり、金融商品を買ったりするのは危険なので気を付けましょう。
まず意識していただきたいのは、60歳になった途端に収入がゼロになる訳ではないということです。
2020年8月に行った総務省統計局の「労働力調査」では、55〜64歳で仕事をしている男性は90.0%、65歳以上は35.4%という結果でした。65歳以降の就労者はこれから益々増えるだろうと予測されています。
60歳を過ぎても働くことで、生活をしながら貯金をすることだって可能です。早い段階から老後の準備を始めるのは大切ですが、貯金にばかり目を向けて不安になるのは早計かもしれません。まずは定年を過ぎても「働く」という選択肢を持つべきでしょう。
参照元:総務省統計局 「労働力調査結果」 https://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03roudou.html
2013年の「高齢者雇用安定法」の改正により、企業は希望する会社員を65歳まで雇用することが義務付けられました。しかし再雇用になるため、役職手当などは付かなくなり収入は減少します。
夫婦2人で暮らしていて妻が専業主婦の場合は、そのマイナス分を妻がパートやアルバイトで補うというのはいかがでしょうか?50歳を過ぎると、子育てもひと段落して時間に余裕もでてくる頃だと思います。家事を夫に協力してもらいながら、毎月数万円でも収入が持てると、暮らしはより豊かになるでしょう。