現行制度が続けば65歳から年金を受給できるので、アラフィフ世代が、新たに資産運用を始めるとなると、単純計算で運用期間は15年前後しかありません。大きなリスクが取れない老後資金ですから、おのずと選択肢は少なくなりますが、税金面で利用しておきたいのが、iDeCoとNISAです。
決まった金額を積み立てて、そのお金を運用することで、自分自身で老後の資金を準備する私的年金の制度です。勤務先で加入するのが「企業型確定拠出年金(DC)」。個人で加入するのが「個人型確定拠出年金(iDeCo)」です。
金融機関ごとに違いはありますが、運用商品も国内外の株式や債券だけではなく、REITや金など幅広い商品に投資する投資信託がラインナップされています。
また、元本割れが心配だと思う人は、「元本確保型商品」もあるので、節税メリットは受けることが出来ます。
20歳から60歳までの国民年金・厚生年金加入者の大多数の人が加入することができ、加入者ごとに月々の掛け金限度額と年間限度額が決まっています。
ただし、会社員の人は、勤め先の規約によって加入できないこともあるので、確認してください。
iDeCoの最大のメリットは、「積立時」・「運用時」・「受取時」の税制優遇を受けられる点です。とりわけ、積立時における全額所得控除の対象になるのは、非常に魅力的です。
iDeCoの資産は60歳まで
引き出すことが出来ません
iDeCoは、老後の資産形成を目的とした年金制度だからこその税制メリットがあるので、原則60歳まで引き出しは出来ません。
ちなみに、加入者が死亡した場合には、その遺族が死亡一時金を受給できます。また、加入者が傷病等で、高度障害の要件に該当した場合には、障害給付金を受給することが可能。
50歳以上で加入すると、
60歳から受け取れないことも
60歳からiDeCoの年金資産を受け取るには、iDeCoに加入していた期間(通算加入者等期間)が、10年以上必要です。通算加入者等期間が10年に満たない場合は、年金の受け取りが最長70歳まで繰り下げされます。
いろいろな手数料がかかる
手数料には2種類あり、金融機関ごとに異なる「運営管理手数料」と国民年金基金連合会と事務委託先金融機関に支払う「口座開設料」「口座管理手数料」「給付手数料」「還付手数料」などがかかります。手数料は、毎月の掛け金や保有している年金原資から差し引かれます。
元本を割り込むリスク
運用の結果次第では、将来受け取る年金が払い込んだ掛け金を下回ることもあります。
NISAは「NISA」「ジュニアNISA」「つみたてNISA」の3種類ありますが、ここでは3番目の「つみたてNISA」について説明します。
つみたてNISAとは、従来のNISA(少額投資非課税制度)よりさらに少額の積み立て方式で投資ができる非課税制度です。(2018年1月からスタートで2037年まで)
一般NISAは、年間120万円まで、5年間が非課税期間ですが、つみたてNISAは年間40万円まで、20年間が非課税期間で、最大800万円まで。2037年に購入した分は、2056年まで非課税で保有することができます。 一般NISAとつみたてNISAは1年ごとに変更可能ですが、併用はできません。
iDeCoと違い、いつでも換金可能。つみたてNISAは、20年間の非課税期間はあるものの、期間中に売却することはできます。
投資できる商品が、一般NISAと比べて限定されます。一般NISAは個別株にも投資可能ですが、つみたてNISAは金融庁が長期の積立・分散投資に適していると判断したノーロード(手数料がかからない)のファンドや公社債ファンドが中心です。
20代や30代の頃はまだ稼ぎが少ないので資金に余裕がなく、日々の生活をやりくりするので手一杯。投資まで手が回らなかったという方も多いのではないでしょうか。そういう方も、40代以降になると徐々に生活にゆとりが持てるようになり、50代の頃には資金も増え、投資へ回せるようになります。
老後のために貯蓄に励んできた方の中には、50歳で目標金額を達成できている方もいるでしょう。20代や30代の頃のように貯蓄をしなくても人並みの生活はできそうな方であれば、その後の資金を投資に回すことも可能です。
若い頃は、マイホームの購入や何かあったときの保険として貯蓄する方も多いですが、50代になるとある程度生活も落ち着いてきます。そのため、50代以降は老後に向けての貯蓄に焦点を絞る方も多いのではないでしょうか。老後の蓄えとして目標を絞り込みやすいので、投資に使える金額もはっきりしやすくなります。
20代や30代で投資に失敗しても、その後に取り戻すことは可能ですが、50代でハイリスクの投資に失敗した場合、定年までに取り戻すのは困難です。老後の生活まで響いてしまうので、注意が必要です。
老後にゆとりある生活を送るためにも、シミュレーションを行い将来の生活をイメージすることが大切です。負債を抱えている場合は、早期に対応策を考えておく必要があります。保険についても、60代になってから見直すのでは遅いです。不要な保険にお金をかけていないか、今のうちに確認しましょう。
50代からの投資で最も危険なのは、思い切った投資で老後の資金を注ぎ込んでしまうことです。貯蓄がなくなってしまうというハイリスクを避けるためにも、50代からの投資は分散投資を心がけましょう。一方でマイナスが生じても、他の投資で取り戻せるような対策をとることが重要です。
定年を10年後に控えた50代は、老後の計画もだんだんと具体的なものになっていきます。老後の生活を左右するのは「資金」です。国民年金だけでは生活もままなりませんし、厚生年金の場合でも1ヶ月の生活費が5万円マイナスというデータも出ています。
老後の生活では、通院費や介護費、持ち家であればリフォーム費用なども確保しておく必要があります。計画的な資産形成を行いましょう。
50代で資金形成に焦り、ハイリスクの投資を行う方もいますが、大変危険です。
50代で投資に失敗した場合、取り戻す期間が全く足りません。特に未経験で投資にチャレンジする場合、資産を大幅に失う可能性のある、リスクの高い投資は避けた方が無難です。
資産運用は、長期分散投資といわれるように、長期で投資対象を分散するほど、リスクが軽減されます。ですから、50代で始めるのは、時間的リスクを負うことになります。よくありがちなのが、老後資金を大きく増やそうと、退職金を株式などのリスク商品に投資して大事な蓄えを減らしてしまうケースです。
老後資金に不安があるという人こそ、リスクの大きな金融商品への投資は控えて、自身が働きながらおひとりさまのセカンドライフを楽しむのもいいのではないでしょうか。
現在2児の母。出産前までは大手証券会社で長年営業に従事。自営業の夫の仕事を手伝う傍ら、自身の経験を活かし、ウェブライターとして活動中。わかりやすいをモットーに、さまざまな場面でのお金について解説します。
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