NISAは2014年にスタートした、少額から投資できる少額投資非課税制度です。通常の投資信託に投資すると分配金は配当所得として、譲渡益は譲渡所得として税金がかけられます。金融機関にてNISA専用の口座を開設して投資信託を運用することで、分配金や譲渡益にかけられる税金が非課税となるのです。
NISA口座を開設して金融商品を購入し運用すると、購入した金融商品から得られた分配金や譲渡益には、定められた期間税金が課税されることがありません。また非課税期間が終了した場合でも、口座内の金融商品を翌年の非課税枠に移すことも可能です。通常の投資信託で配当金や譲渡益にかかる税率は20.315％なので、NISAを利用することで節税効果を得られます。
NISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があり、それぞれ年間の購入上限が120万円・40万円・80万円と決められています。老後資金の準備としてNISAを活用する場合は、「一般NISA」か「つみたてNISA」を利用することになるでしょう。
NISAの最大のメリットは、NISA口座で運用した金融商品の配当金や譲渡益が非課税となることです。どの金融機関で口座を開設するのかにもよりますが、1,000円から投資でき、一般NISAの場合は5年間、つみたてNISAの場合は20年間非課税で運用することができます。
一般NISAは5年間の非課税期間が終了しても、翌年の非課税投資枠に口座内の金融商品を移すことが可能です。また、つみたてNISAの商品ラインナップは、金融庁の条件をクリアした投資信託またはETFに限られているので、長期の積立や分散投資に適しています。
NISAでは複数の口座を開設することができず、1人1口座のみです。最大投資金額に関しても一般NISAの場合は120万円×5年間で総額600万円まで、つみたてNISAの場合は40万円×20年間で総額800万円までと上限が決まっています。
また、NISAで運用できる金融商品は新規で投資するもののみが対象です。このため、すでに保有している株式や投資信託をNISA口座で運用することはできません。NISAを運用した際に出た損失についても、一般口座や特定口座と損益通算することができないので注意が必要です。
一般NISAとつみたてNISAを活用して老後資金の準備を行いたいという方もいらっしゃると思いますが、一般NISAとつみたてNISAは併用できないので、どちらか一方を選ぶ必要があります。それぞれの性質を考慮した場合、老後資金の準備として活用するならつみたてNISAがおすすめです。
つみたてNISAの年間投資額の限度は40万円までですが、20年間つみたてることで非課税総額は800万円になります。これに対して一般NISAは上限120万円で5年間非課税なので、非課税総額は600万円です。非課税総額を比べると、つみたてNISAの方が総額は大きいので老後資金の準備に向いています。
日本政府の発表では、老後資金として夫婦2人で2,000万円が必要になると試算されています。では、つみたてNISAのみを活用して老後資金の2,000万円を準備することは可能なのでしょうか？
結論を述べると、つみたてNISAのみで2,000万円を準備する場合、毎年上限額の40万円を投資して年利約9％で運用する必要があるため、非常に厳しい結果となっています。金融庁によると、つみたてNISAで20年投資すると年利2〜8％に収まるというデータが出ています。
つみたてNISAは一般NISAと併用できないので、NISAを利用して老後資金を準備するには代替案が必要です。そこでおすすめできるのが、つみたてNISAとiDeCoを併用して老後資金を用意する方法です。
つみたてNISAとiDeCoを併用することで、効率的に老後資金の準備ができます。iDeCoの正式名称は個人型確定拠出年金で60歳以下の方なら誰でも加入することができ、60歳到達時に加入期間が10年以上あれば年金または一時金として資産を受け取れます。
年間の投資限度額は加入している年金の種別により異なりますが、拠出金の全額が非課税となるので大きな節税効果も得られます。投資できる金融商品も定期預金・投資信託・保険商品と、つみたてNISAと似ているので、併用して運用しやすいのが特徴です。つみたてNISAを活用して老後資金を準備する場合は、同じように非課税の性質をもつiDeCoを併用することで効率的に資金を増やしましょう。
